マーケティングの最初の一歩は、
「理想のお客さま、クライアント像」を決めること。
別の言葉では、「ターゲットを絞る」とか「ペルソナを決める」とか言いますよね。
具体的にどんな人で、どのエリアに住んでいて、何の仕事をしていて、趣味は何で、休日は何をして過ごすのが好きで、友人はどんな人たちで、どこで遊んでて、読む雑誌は何?好きなユーチューバーは?・・・みたいな。
おそらくこのページを読んでいるあなたは、個人で起業しているか、これから起業しようとしているか、または近い将来それもありかも?って考えていますよね。
最初にその「理想のお客さま、クライアント像」を決めるということがとても重要なのですが、大多数の人が真っ先にぶつかるのが、
絞ったら、減る・・・
なんです。
今は当たり前になっちゃったけど、昔の私も、もれなくそうでした。
そんなことしていいの?
減っちゃうじゃん・・・
って、思いました。
でも今なら明確に、なぜ絞る方がいいのかが解るので、その理由を書いてみます。
理由は2つ。
理由その1:絞らないと、絞っている別の誰か(競合)にとられるから
具体的にこういう人・・・って絞ったら、確かに減ります、母数は。
でも「理想のお客さま、クライアント像」を絞って、本当に減ってしまうのは、
シェア100%の場合だけ
なんです。
あなたのやっているビジネス、提供しているものって、シェア100%?
日本で他に誰もやってない?
だとしたら、絞ったら減ります。
それ以外の人は、「あ、自分は違うんだな」って思いますし。
でも、たいがいの場合、シェア100%じゃあないですよね?
他にもいますよね、しかもたくさん。
だとしたら、他にもたくさんいるその人たちが、
「具体的にこんな人向けに!」
っていうのをやっていたら、そりゃあそっちに行きますよ、あなたではなく。
理由その2:あなたって密着軸でしょ?-差別化軸の話-
「差別化」って、よく耳にするワードだと思いますが、
世にある差別化の方法って、ざっくり分けると、3つなんです。
◎手軽軸:安い早い便利!で勝負
◎商品軸(ブランド軸):高品質で最先端!で勝負
◎密着軸:私にぴったり!で勝負
◎手軽軸:安い早い便利!で勝負
っていうのは、某大手ハンバーガーチェーンとか、某大手牛丼屋とか、回転寿司チェーンとか、『○ン○ホーテ』みたいなディスカウントストア。
安くて早くて便利だから、選んでもらえます。
◎商品軸(ブランド軸):高品質で最先端!で勝負
っていうのは、ミシュランで星を競っているような一流オーナーシェフのお店とか、流行を生み出すカリスマ美容師とか、いわゆる高級ブランド。
ブランドだから選んでもらえます。そのブランドに、お客さまは自分を合わせるんですね。
◎密着軸:私にぴったり!で勝負
っていうのは、自分好みにカスタマイズできたり、自分のことをよく知っているところや何かの専門店。
行きつけの美容室とか、行きつけのお店とか、『~~専門店』です。
安いから欲しいんじゃなくて、
ブランドで高級だから欲しいのでもなくて、
私にぴったり!
私のための商品やサービス!
だから選んでもらえるんです。
そして・・・
さらにこの「密着軸」には、2つのタイプがあります。
◇「仰せの通りに」執事タイプ
全てお客さまの言うとおり、仰せの通りにいたします・・・のタイプ。
美容室だったら、
「長さはこのくらい、前髪はこうカットして、角度は何度で、レイヤーはここから入れて、カラーリングはこの色で・・・」
というお客さまに対して、
「かしこまりました。仰せの通りに。」
と、それがお客さまに似合うかどうかは置いといて、その通りにして差し上げる。
これだって、1つのやり方です。
◇プラスα提案タイプ
お客様の要望を踏まえた上で、さらにプラスαを提案するタイプ。
美容室だったら、
その人がまだ気づいていない魅力に先に気づいて、もっとこうするとさらに素敵ですよ、を提案するやり方です。
その人が何に困っていて、何を得たときに喜んで、何をしているときに不安を感じて、誰と一緒にいると安心して、どうなれたら幸せを感じるのか?
そのお客さまのことをその人以上に知っていて、
その人にぴったり寄り添った提案をするから選んでもらえる。
ところで、その人って誰?どんな人?
というのが、まず必要になりますよね。
手軽軸がめざすのは、最『安』
商品軸(ブランド軸)がめざすのは、最『高』
そして、密着軸がめざすのは、最『適』
誰にとっての最『適』なのかを決めないと、何をすればいいか、わからないんです。
理由その2で「あなたって密着軸でしょ?」って書いたけど、
ここまで興味を持って「ふんふん・・・そうか・・・」と読んでくださっているあなたは、
たぶん、カウンセラーかコーチかセラピストか建築家でしょ?
だったら、大半が密着軸のはず。
「ターゲット」だなんて、なんだか標的みたいで良い印象ではないかもしれないけど、
あなたが届けたいものをまっすぐに届けたい人に向けて放つ、キューピッドの矢のようなもの。
「理想のお客さま、クライアント像」を、名前や年齢や血液型まで決めて、まるで本当にその人が生きて存在してるんじゃないかと思うほどにまで具体化すると、
あるときから勝手にその人がイメージの中で動き出し、その人が何に困っていて何に反応するのか、本当に望んでいるものはなんだろう?
ということが見えるようになってきます。
「よし、この人にしよう!」
って決める、絞るのは、確かに怖いけど、
何かを選ぶということは、何かをやめる(手放す)ということ。
最初の一歩で必要なのは、決める勇気。
これも、マーケティングと心理、共通の要素ですよね。
だから、好き。